とと倶楽部1月号「海辺のまちの嫁日記」

マンマハッピー(株)様、とと倶楽部会報「おしゃべりテーブル」で記事を書かせていただきました。

今回は「おちゃわんいっぱいの幸せ 鯛めし」でした。

ご意見ご感想など、よろしくお願いします。

 

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 今年のお正月はすごかった。山陰地方は近年まれに見る大雪に見舞われた。

 私が住むまちも例外ではない。60センチはあるかと思われる積雪は、車をすっぽり飲み込んで地元の人間の「足」を奪った。さらに大晦日の夜から停電になり、私たちは寒さで震えながら元旦を迎えた。

 

 電気のない、雪に閉じ込められた生活が、こんなに大変なものだったとは…!とにかく寒さとの戦いなのである。石油ストーブで沸かしたお湯でペットボトルの湯たんぽを作り、寒さをしのいだ。

  みじめになるのは食事の時、ロウソクの薄明かりで冷たいおせち料理やおもち、カップ麺をいただくのだ。ガスコンロはあるものの、冬空の日没は早く、料理どころではない。みんな寒さに震えながらそそくさと食事を済ませ、早々に寝てしまった。

 なんてひどいお正月!(涙)

 

 この悲惨な停電生活は2日間続いた。

 

  正月明け、疲れ切った家族(特に大人たち)の顔を見て、ひと手間かけたごちそうを作ろうと思った。お正月を祝い直したい。でも、こってりしたものはイヤ。優しくて温かくて、おめでたいごちそう…そうだ…鯛!鯛めしを作ろう!

 

 

 

 炊飯器を開けると、湯気とともにあまく香ばしい香りが広がった。子供たちに催促され、少し早めのお夕食をいただくことにした。
 お味は…うん、おいしい!ごはん一粒ひとつぶに、鯛のうま味がしっかり染みている。磯の香りにほどよい塩味が絶妙。ほのかな苦みも良い。

 

 炊飯器はあっという間に空になった。作戦成功である。
 義母が作り方を聞いてきた。

 良い年になるかもしれないと思った。